Mindful Parenting:マインドフルな子育て
2019年3月11日、愛知県の幡豆で、子育て中のお母さんを対象として、マインドフルネスとコンパッションを子育てに活かすための講演をして来ました。このような話をするのは初めてで、カバットジン夫妻の「エブリデイ・ブレッシングズ」や、スティーブン・マーフィー重松先生の「スタンフォード大学 マインドフルネス教室」を参考にしました。
『マインドフル・ペアレンティングとは、子どもたちを見る時に価値判断を挟まず、自分が望む姿としてではなく、その子本来の姿を見ることである。結果に執着するよりも、子どもの人生に今展開しつつあることにマインドフルになるということだ。感情をそこに据えて子どもに接する時、親子の間の深い根源的なつながりへの敬意が払われる。すると子どもたちは自分の感情をうまく扱える人間に育っていく。』(重松, 2016)
講演では、2時間かけて、この意味を知的レベルでも身体感覚レベルでも理解してもらえるように話しをしました。
その中で、『結果に執着するよりも、子どもの人生に今展開しつつあることにマインドフルになるということだ。』という部分を、どうすればわかりやすく伝えられるかと考えているときに、りんごの木子どもクラブ代表の柴田愛子さんのインタビュー記事に出会いました。少し長くなりますが抜粋します(とてもいいインタビューなので、興味のある人は、全文を読んでみてください: https://hoiclue.jp/800005254.html)。
『Q. 愛子さんから見て、自分のまんまでやれている保育士さんって少ないですか?
A. そうね、現場にいる多くの人は、自分の感性とか思考を全部棚にあげて保育をしているような気がするのよね。子どもを集めなくちゃいけない、給食を食べさせなくちゃいけない、園でのプログラムをしなくちゃいけない。たくさんの“すべき”ことの中で、自分はどう思う?どう考える?ということを、思考し感じることを滞ってしまっている印象を受けます。感性に蓋をしちゃっているっていうのかな。だから、子どもをキャッチできない。
Q. 子どもを“キャッチ”できない?
A. そう。生々しい心を持っているから、「あ、この子顔色悪いんじゃないの?」とか「あれ、なんか元気ないな、なんかあったのかな?」って気づけると思うの。例えば、製作活動をイヤイヤやっている子がいたとして。自分の感性の蓋を開けられていたら、「あぁ、この子本当にイヤなんだろうな」と気づけて、「やめちゃおっか」って声をかけることができるじゃない。でも“やらせなくちゃ”という思いだけでやっていると、そのやりたくない子は邪魔な子になり、うまくいかない子になる。全部こっちの都合なのに、問題児になっていっちゃうのよね。それって子どもにとっても悲しいことだし、大人も自分の感性に蓋をしてこなしているだけだから、保育が、子どもとの生活が、面白くなくなってきちゃうし、疲れるものになっちゃうんじゃないかなと。だからそれを停止しなければ、もうちょっと“人間的な保育”に変わっていくんじゃないかなぁとも思うわよ(笑)。』
まさに、結果ではなく、今展開しているものに心を込めることの大切さをものすごくわかりやすく説明してくれています。
自分の人生を生きていく中で、結果に注意を向けてしまい、今展開しているものに心を込めることができない人も多いのではないでしょうか。自分の人生に対してそうであればあるほど、子どもの人生に関わっていく中でも、つい結果に注意を向けてしまい、今展開しているものに心を込めることができないことが多くなっているのではないかと思います。
そして子どもは、親が何に注意を向けているかを敏感に感じ取り、親が注意を向けているものに価値を感じ始めるのだと思います。
子どもがマインドフルに生きていくための最良の方法は、子どもにマインドフルネスを教えることではなく、親がマインドフルネスを実践することなのではないかなと思います。
ナマステ